2025/09/25
【基本編】化粧品に関する薬機法NG表現TOP10

化粧品の広告や商品紹介では、つい「効果がしっかりある」とアピールしたくなるものだ。しかし、化粧品は薬機法によって表現できる範囲が明確に定められており、それを超えると違反につながることは覚えておく必要がある。
薬機法における「化粧品」の定義は、**「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、皮膚や毛髪を健やかに保つために使われるもの」**である。
つまり「治す」「予防する」といった医薬品的な表現は、化粧品の広告では使用できない。
本記事では、化粧品広告でよく見かけるが薬機法的にはNGとなる表現を10個ピックアップした。まずは【基本編】として、初心者が最低限押さえておきたい代表例を紹介する。
NG表現1:「シミが消える」
NG例:「この美容クリームを使うと1週間でシミが消える!」
化粧品は「シミを治療する」ことを目的にしていないため、「消える」という断定的な改善表現はNG。認められるのは「メラニンの生成を抑えて、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ」まで。
代替表現:「日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ」「透明感のある肌を目指す」
NG表現2:「シワがなくなる」
NG例:「アイクリームの成分が浸透し、シワがなくなります」
「シワがなくなる」は治療的な効果を意味し、化粧品の効能範囲を超えている。
例外として「乾燥による小ジワを目立たなくする(効能評価試験済み)」は表現可能。
代替表現:「乾燥による小ジワを目立たなくする」「うるおいを与え、ハリを保つ」
NG表現3:「ニキビに効く」
NG例:「ニキビに効く化粧水」
特定の疾病名を挙げて効果を示すことは、薬機法で禁止されている。化粧品はあくまで日常的なスキンケアにとどまり、疾患の治療や改善を目的とする表現はできない。「効く」といおう表現は効果効能を断定しており、医薬品的な効能を連想させる。また、同様に「治る」という言葉は医薬品にしか使用できない。化粧品では「肌を健やかに保つ」までが無難。
なお、薬用化粧品(医薬部外品)であれば「ニキビを防ぐ」という表現が認められている。
代替表現:「肌を清潔に保つ」
NG表現4:「肌荒れに良い」
NG例:「肌荒れに良い成分が入った洗顔料」
「良い」という言葉は一見やわらかい表現に感じるが、実質的には「改善する」「治す」と同じ意味合いを持つ。そのため、治療目的を早期させる表現と判断されやすい。
化粧品は「治療」を目的としていないため、「治す」という表現は医薬品的効能にあたり使用できない。化粧品で認められるのは「肌荒れを防ぐ」「肌をすこやかに保つ」といった範囲に限られる。
代替表現:「肌荒れを防ぐ」「肌をすこやかに保つ」
NG表現5:「若返る」
NG例:「塗るだけで10歳若返る美容液」
「若返る」という表現は加齢そのものを逆行させる意味を含み、医薬品的効能とみなされるため化粧品では使用できない。化粧品で表現できるのは「うるおいを与える」「ハリを保つ」といった感覚的な範囲にとどまる。
代替表現:「ハリを与える」「ツヤのある肌に導く」
NG表現6:「毛が生える」
NG例:「毛が生える育毛シャンプー」
発毛効果は医薬品の効能であり、いわゆる発毛剤と呼ばれるものが該当し、化粧品で「毛が生える」と表現することはできない。一部医薬部外品では「育毛を促進する」「発毛促進」「毛生を促進」「薄毛、脱毛の予防」「養毛」などの効能・効果表現は認められているが、ここでいう「発毛促進」「毛生促進」はあくまで “発毛を助ける” という位置づけとなり、「毛が生える」と断定する表現は不可。
化粧品では発毛につながる表現はできない。
代替表現:「髪にハリ・コシを与える」「髪をすこやかに保つ」
NG表現7:「ほうれい線が消える」
NG例:「ほうれい線が消えるマッサージジェル」
部位を特定して「消す」と断定するのは、治療的な効果をうたうことになり医薬品的表現とみなされる。化粧品では原因を限定した範囲の表現にとどまる。
代替表現:「乾燥による小ジワを目立たなくする」「うるおいを与え、ハリを保つ」
NG表現8:「ターンオーバーを正常化する」
NG例:「ピーリング効果でターンオーバーを正常化します」
「ターンオーバーの正常化」といった、身体の機能や細胞レベルに直接作用する表現は医薬品的効能にあたる。ピーリング、角質ケア商品などで見られがちだが、注意が必要だ。化粧品でできるのは「角質をやわらげる」「うるおいを与える」といった範囲に限られる。
代替表現:「古い角質をやわらげる」「なめらかな肌に整える」
NG表現9:「美白効果がある」
NG例:「使い続けることで美白効果が生まれます!」
化粧品で「美白」と表現できるのは、医薬部外品として有効成分(アルブチン、トラネキサム酸など)が承認されている場合に限られる。承認成分を含まない化粧品で「美白できる」と表現すると薬機法違反となる。
代替表現:「透明感のある肌へ」「明るい印象の素肌に」
NG表現10:「毛穴を引き締めて小さくする」
NG例:「ジェルが毛穴を引き締め、小さくする」
毛穴の大きさは皮膚構造や生理機能に関わるため、化粧品で「小さくなる」と断定するのは薬機法上NGである。化粧品で表現できるのは「肌を引き締める」「うるおいを与えることでキメを整える」といった範囲に限られる。
代替表現:「肌を引き締める」「キメを整えてなめらかな肌に導く」
化粧品の広告で認められるのは、「清潔・美化・保湿・整肌・健やかに保つ」といった範囲に限られる。「治す」「消す」「改善する」「予防する」といった医薬品的な表現はNGである。広告やライティングに携わる際には、まずはここで紹介した基本的なNG表現を避けることが重要だ。