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2026/02/03

美容機器で「リフトアップ」はアウト? NG回避の言い換えテクニック

美容機器で「リフトアップ」はアウト? NG回避の言い換えテクニック|薬機法ライティングコラム

近年、需要の定着と健康意識の高まりにより、自宅で手軽にケアができる「家庭用美顔器」や「マッサージ器」の市場が拡大している。
しかし、ここで注意しなければならないのが、多くの美容機器は法律上「医療機器」ではなく「雑品(雑貨)」に分類されるという点だ。

医療機器としての承認を得ていない限り、身体の構造や機能に影響を及ぼすような効果を謳うことはできない。
しかし、他社との差別化を急ぐあまり、つい「効能」に踏み込みすぎてしまうケースが数多く見受けられる。

ここでは、美容機器・雑品の販売で見落としがちな3つの注意点と、その言い換え事例を見ていきたい。

1. 身体の構造・機能を変化させる表現

家庭用美顔器やマッサージローラーにおいて、特に慎重になるべきなのが「脂肪」や「筋肉」への言及だ。
「脂肪を燃焼させる」「筋肉を増強する」といった表現は、身体の構造を変化させるとみなされ、雑品ではNGとなる。

正解へのアプローチ

「物理的な刺激」にフォーカスする。

【変更事例】
×「脂肪を燃焼してスッキリしたウエストに」
→ 〇「振動機能で日々のエクササイズをサポート」「心地よい刺激で肌をキュッと引き締める」

×「EMSで筋肉を肥大化!」
→ 〇「EMSで筋肉をトレーニング!」
※筋電気刺激による筋収縮、および筋疲労特性のエビデンス取得済みであることが条件となる。

「増強する」「燃焼する」といった身体のメカニズムそのものの変化ではなく、あくまで「物理的な刺激」や「肌への表面的な作用」に留めることが大切だ。
また、自分自身の運動と絡めることで、よりダイレクトな訴求も可能になるので、うまく活用したい。

2. 医療行為や専門的な治療を連想させる表現

美容クリニックで行われる「HIFU(ハイフ)」や「レーザー治療」などの名称を出し、それと同等の効果があるかのように見せる手法も大きなリスクを伴う。
「除去」「消す」「治す」といった言葉は治療を目的とする医療機器の表現であり、雑品の広告で使用すれば薬機法抵触とみなされるので注意したい。
また、「デトックス」や「細胞の修復」といった言葉も、本来は「医療行為」の領域に該当する表現であるため、雑品での使用は厳しく制限されている。

正解へのアプローチ

「セルフケアの質」を強調する。

【変更事例】
×「自宅で本格HIFU体験!シミを根本から除去」
→ 〇「サロン級のケアを自宅で。明るい印象の肌へ」

×「真皮まで美容成分を届けて細胞を活性化」
→ 〇「角質層のすみずみまで浸透し、肌を健やかに保つ」

「除去」「修復」「活性化」「真皮への到達」といった、医療的なアプローチを連想させるキーワードを避け、セルフケアとしての「質の高さ」や「使用感の良さ」を強調する表現への切り替えが必要となる。
また、化粧品の効果効能で認められている「角質層までのケア」や「肌を整える効果」の範囲内に留めることも重要だ。

3.「リフトアップ」の断定的使用

商品の魅力を伝える上で、非常に訴求力の高い「リフトアップ」という言葉。
これが「重力に逆らって肌を物理的に持ち上げ、その状態を維持させる」という意味で使われている場合、法的にはアウトとなる。
アンチエイジングを想起させる「蘇る」「若返る」といった表現も、雑品の範囲を大きく逸脱しているので注意が必要だ。

正解へのアプローチ

「使用時の一時的な効果」であることを明確にする。

【変更事例】
×「使うだけでリフトアップが叶う」
→ 〇「上に向かって引き上げるように動かす(※操作方法として)」「表情筋のトレーニングに」

×「10年前の輪郭が蘇る」
→ 〇「キュッと引き締まった、健やかな肌印象に」

×「細胞を活性化させて若返る」
→ 〇「年齢に応じたエイジングケアで、ツヤのある肌へ」

「リフトアップ」という言葉自体を効果として謳うのではなく、あくまで「動かし方」の説明に留めるか、「肌の印象」として伝える工夫が求められる。

まとめ:雑品に許されるのは「物理的な刺激」と「化粧品的な効果」

美容機器や雑品で訴求できる範囲は、大きく分けて以下の2つとなる。

物理的刺激による効果:「たたく」「もむ」「押す」といった動作そのものや、それによる一時的な変化。
化粧品と同等の範囲: 肌のキメを整える、汚れを落とす、肌を健やかに保つといった、化粧品に認められた効果と同等の範囲での訴求。

「商品の良さを余すことなく伝えたい」という熱意は、消費者に価値を届けるマーケティング担当者にとって欠かせない原動力だ。
しかし、ルールを逸脱した訴求によって一度損なわれた信頼を回復するには、膨大な時間と労力を要する。
一時的なインパクトに頼るのではなく、法を守りながら魅力を最大化させる「伝え方の工夫」こそが、事業の安定した成長を支える鍵となるだろう。

 

参考:
家庭向け美容・健康関連機器 適正広告表示ガイド(一般社団法人 日本ホームヘルス機器協会)

医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について(厚生労働省)

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