コラム

Columns

2025/10/31

【事例解説】薬機法リスクを回避!広告表現の「NGとOK」

【事例解説】薬機法リスクを回避!広告表現の「NGとOK」|薬機法ライティング

「この広告表現、本当に大丈夫だろうか…」
美容・健康分野のマーケティングに関わる担当者であれば、一度はそのような不安を感じたことがあるのではないだろうか。
薬機法や景表法の規制は年々厳しさを増しており、知らずに謳った表現一つで、企業の信頼が大きく揺らぐ可能性もある。

今回は、そんな薬機法リスクを回避しつつ、消費者に商品やサービスの魅力を正しく伝えるための具体的な言い換え事例を紹介したい。

1. 化粧品・スキンケア編

化粧品やスキンケア商品の広告では、「治療」や「改善」といった医薬品的な効果を謳うことができない。
認められているのは、「肌を整える」「うるおいを与える」「保護する」など、化粧品に認められた56項目の効能効果の範囲内での表現となる。
また、安全性を保証するような表記も禁止されているので注意したい。

【変更事例】※一般化粧品の場合

×「ほうれい線が消える化粧水」 → 〇「肌にハリと潤いを与える化粧水」
×「美白効果を実感したい方に」 → 〇「透明感のある肌を目指す方に」
×「ニキビを治す洗顔フォーム」 → 〇「ニキビを防ぐ洗顔フォーム」
×「天然成分で安心・安全です」 → 〇「天然成分でやさしく洗いあげます」

「消える」「なくす」「治す」といった医薬品的な表現を避け、化粧品として認められる「肌を健やかに保つ」「印象を変える」といった表現に留めることが大切だ。

関連コラム:
薬機法をクリアしながら、訴求力の高い化粧品コピーを作成するコツ
【基本編】化粧品に関する薬機法NG表現TOP10

2. ヘアケア・ボディケア編

ヘアケアやボディケア商品も、化粧品・スキンケア商品同様、医薬品的な効果効能を訴求することはできない。
「毛根を再生させる」「肌の細胞を活性化させる」といった、髪や体の構造そのものを変化させるような表現も禁止されている。

【変更事例】※一般化粧品の場合

×「においの発生を防ぐボディーソープ」 → 〇「甘い香りをまとうボディーソープ」
×「頑固なセルライトを除去する」 → 〇「肌を引きしめ、なめらかに整える
×「白髪を減らすトリートメント」 → 〇「健やかな髪を保つトリートメント」
×「傷んだ髪を若返らせる」 → 〇「ハリのある若々しい髪へ」

ここでも、商品がもたらす「健やかさ」「印象の変化」「清潔感」といった、化粧品や雑貨の範囲で認められる表現に留めることが重要だ。

3. 健康食品・サプリメント編

いわゆる健康食品やサプリメントは、「一般食品」に分類されるため、医薬品のような病気の治癒や予防効果を掲げることはできない。
血圧の数値を改善する」「飲むだけで痩せる」といった表現は薬機法違反になる。
そのため、訴求の軸を「効果効能」から「栄養の補給」や「美容のサポート」といった表現に切り替える必要がある。
また、「シミに効く」「便秘の解消に」といった、身体の特定の部位への効果があることを暗示させる表現も同様に禁止されている点に留意したい。

※保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)については、定められた範囲内で効能を表示することが認められている。

【変更事例】※一般健康食品・サプリメントの場合

×「免疫力を高める成分を配合」 → 〇「元気で活動的な毎日をサポート」
×「飲むだけでダイエット効果」 → 〇「ダイエット時の栄養補給に」
×「便秘の解消にピッタリ」 → 〇「不足しがちな食物繊維を手軽に補給」
×「筋力アップしたい方に」 → 〇「筋トレ後のエネルギーチャージに」

4. あん摩・はり・きゅう(あはき)編

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術は、あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)に基づき、免許を持つ者が行う医療類似行為に該当する。
これらの業種における「治る」「病状が改善する」といった表現は医業と混同されるため、特に慎重な対応が求められる。
今年2月に制定された「あはき・柔整広告ガイドライン」も参考にしたい。

【変更事例】

×「肩こり・腰痛の治療」 → 〇「肩こり・腰痛に対する施術」
×「病状が改善する」 → 〇「お客様一人ひとりの状態に合わせてケア」
×「病気の予防に効果バツグン」 → 〇「健康維持をサポート」
×「不妊を治したい方に」 → 〇「妊活中の体調管理に」

あはき法の対象となる業種においても、誇大な表現や医業と誤認される表現は厳しく規制される。
施術内容や料金など、客観的な事実に基づいた情報提供に努めることが望まれる。

4. カイロプラティック・エステ・リラクゼーション編

カイロプラティック、エステサロン、リラクゼーション等は、法に基づかない医業類似行為を提供する業態に該当する。
そのため、施術行為を直接的に規制する法律は、現在のところ特に存在していない。
しかし、表現の仕方によっては、景表法をはじめ、薬機法、医師法等に抵触するおそれがあるので注意が必要だ。
また、「治す」「治療する」といった表現は、医師や医療機関のみが使用できるものであるほか、「マッサージ」という表記もあはき法に抵触する可能性があるため使用には注意したい。

【変更事例】

×「治療」「マッサージ」 → 〇「トリートメント」「施術」「ケア」
×「顔のむくみを解消する」 → 〇「すっきりとした印象に導く」
×「頑固な肩こりを治す」 → 〇「肩まわりをリラックスさせる」
×「つらい腰痛を改善する」 → 〇「腰のハリをやわらげる」

.国家資格を必須としない業態では、医療行為を連想させる直接的な表現を避けることが重要なポイントだ。

薬機法遵守は「攻め」のマーケティング戦略

薬機法は、消費者を守るための重要な法律であり、企業の広告活動に大きな影響を与える。

しかし、これを単なる「縛り」と捉えるのではなく、「どのようにすれば法律の範囲内で商品の価値を最大限に伝えられるか」という「攻め」のマーケティング戦略として発想を転換することが大切だといえるだろう。

あいまいな表現や過度な言い回しを排し、科学的根拠に基づいた適切な情報提供を徹底することは、消費者からの信頼とブランド価値を飛躍的に高める最良のチャンスとなる。

今回紹介した事例を、貴社の商品やサービスが持つ真の魅力を最大限に引き出すための実践的な指針として活用してほしい。

“高くて面倒” を 
“ちょうど良い”薬機法対策へ。

まずはお気軽にご相談ください。